オンライン教育の可能性についての雑感

オンライン教育の可能性についての雑感

コロナ休校の期間中に、母校の敬愛高校のオンライン・キャリア講座で、

「価値観と人生」についての話をしました。

約30名の有志の生徒が参加してくれて、

受験・大学選択・仕事についてのリアルな話を共有することができました。

そこで感じたオンライン教育のあり方について感じたこと、

それを踏まえて、フェイブスクールで取り組みたいと思ったことを今日は書いてみます。

(講座の内容に興味がある方は、直接お問い合わせ下さい。)

   

1.オンライン授業の講師

対面の授業と異なり、生徒の反応が見えない。

だからこそ、よりプレゼンのスキルが必要だと感じた。

例えば、

画角に対しての顔のサイズ、目線が真っ直ぐに見えるカメラ位置、

画面共有する資料の完成度、集中力を途絶えさせないためのテンポ…

そして何よりも、自信(もしくは情熱)を持って反応のないカメラに向き合う心の強さ。

これまでの対面授業以上に、一つ一つのレベルが高くなければ、

Youtuberよりも退屈で、学習成果の低いものになってしまう。

 

 

 

2.オンライン授業のコンテンツ

こうしたことを考えると、今回のような特殊なテーマは別として、

普段の科目をオンライン授業で展開する場合には、

やはり、その道のプロが作ったコンテンツを活用するのが一番だと感じた。

 

私自身、スタディサプリを利用しているが、

再生速度を調整したり、考える時間は一時停止したり、

何よりも時間を選ばずに、何度も自分のペースで学習できる。

スタディサプリに関して言えば、授業のクオリティはかなり高い。

某オンライン高校や某進学予備校の動画と比べても遜色がない。

 

現在の日本の教育では、

学校⇔受験業界、教科書⇔受験参考書の対立構造があり、

両者は不可侵の関係にあるが、それぞれのアドバンテージを持ち寄れば、

より質の高い教育が簡単に実現できるのに…と感じることがある。

今回のコロナ休校期間中に、

いくつかの学校では先生たちが動画授業を作って配信していたようだが、

その時間に掛けた労力と、結果として完成したクオリティを天秤に載せて評価すれば、

最初から、プロが作ったコンテンツを活用した方が良かった場合も多いのではないか。

  

3.オンライン授業の双方向性と非認知能力

オンライン授業であっても、ある程度の双方向性は確保できることが分かった。

・コメント機能

・アンケート機能

・ディスカッション機能

こうしたツールを利用する経験は、今後の社会を生き抜く上で必要不可欠だろう。

  

しかし、一方で、互いの表情を読み取ったり、身体的表現を行ったり、

対面では可能な多面的なコミュニケーション

オンラインの場合は限定されてしまう。

また、一人ひとりの理解度を測ったり、

解法の手順についての確認を詳細に検討することは、現時点では難しい。

(問題に取り組む複数の生徒の表情と手元を同時にモニターすることは人間の先生では無理…また、ペンの持ち方や姿勢など、一人ひとり気にすべき点が様々にあり、それらに優先順位をつけて、本人に受け入れてもらえる方法で伝えるのは現時点のAIにも難しいだろう…)

 

何よりも、教育的観点から見たときに、

子供の『非認知スキル』の向上に、どれほどマイナスの影響を与えるかは

今後、専門家の間でも議論がなされるだろう。

 

授業の双方向性については、ツールの導入によって改善の余地がある。

特に、授業評価(フィードバック)についてだ。

教育においても、本来ならば、利用者(学生)からのフィードバックを踏まえて、

提供者(教師)は改善を重ねるべきなのだが、何故か進まない。

一番の理由は、教師が「評価される」のを一番怖がっているからだと思うが…

いずれにしても、端末などのツールを導入する際に、

こうしたフィードバックの仕組みを整えることは、教育の質の向上のために不可欠だろう。

 

 

4.オンライン教育と格差

オンライン教育の充実によって、格差は縮まるだろうか?

各大学がオンライン講義を一般向けに開講しても、

スタディサプリのような学習コンテンツが充実しても、

IT系のプログラミングスキルがオンラインで習得できるようになっても、

格差は縮小していない。

 

それどころか、格差は拡大している。

現実を見てみよう。

 

より多くの人々は無意味で劣悪なコンテンツに

より多くの時間を消費してしまっている。

  

これは自己責任の問題として、無視するには大きすぎる。

 

学校教育のオンライン化が進めば進むほど、

学習に対するモチベーションの違いから格差が加速する。

それは家庭・地域・階層といった環境的要因によって決定されてしまう。

さらに、現実的な経済格差が教育格差に直結する。

家庭教師を雇える富裕層との間で格差が広がる。

 

この時代にあって、

アメリカの一流大学が依然高い人気を誇っているのも、

フランスをはじめとした各国が学校の再開を急ぐのも、

対面でしか得られない「何か」、

オンラインでは損なわれる「何か」があるからだろう。

 

 

5.最後に~「何か」のある場所を~

対面でしか得られない「何か」…

その「何か」とは?

その正体を考えることは、これからの教育の質を向上して、

格差を克服するうえで、重要な示唆を与えてくれる。

・モチベーション

・非認知スキル

・計画的偶発性

こうしたものを、従来の教育は提供できていただろうか?

対面で少人数にこだわってきたフェイブスクール。

これからも、ここでしか生まれない「何か」を追求したいと思う。

 

という事で、今年の夏は『勉強合宿』を実施すべく、計画中です!

これからも、フェイブスクールを、宜しくお願い致します!

岡住建郎

フェイブスクール代表 山口県下関市出身、1987年生まれ。慶應義塾大学法学部卒。住宅会社・広告会社で社会人経験を積み、2017年はカリフォルニア大学へ留学(イノベーション・マネジメントを専攻)。 帰国後は地元下関へUターン、地域貢献を掲げ起業。学習塾フェイブスクール(FAVE SCHOOL)では、自身の受験体験から生み出した自立型学習法やアメリカで学んだ思考を深める対話型授業を実践。 最近では子育てに関する相談や講演を行ったり、大人のための読書会を主催したりと活動の幅を広げています。

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