2020年度から始まる大学入学共通テストに向け、その内容を検討するための試行調査が数回行われています。
その内容を分析することで、今後の入試が「どう変わるか」「求められる能力」「そのための対策」について考察します。
【例】第2回試行調査の国語(第1問より抜粋)
問1
傍線部A「指差しが魔法のような力を発揮する」とは、どういうことか?30字以内で書け。
問2
「(中略)言語を習得しようとする一般的な過程を次のようにノートに整理してみた。その過程が明らかになるように、空欄に当てはまる内容を40字以内で書け。」
問3
「なぜ(中略)を理解できるのかについての考えをまとめることにした。まことさんは、どのようにまとめたと考えられるか。後の1~4を満たすように書け」
従来のセンター試験の4択選択肢方式から出題形式は大きく変わりましたが、
問題で問われている内容が難しくなったわけではありません。
また、文章を書く上での「表現力」といった別の能力が求められているわけではないこともポイントです。
それでは、何が変わったでしょうか?
記述式になったことで、以前の選択式よりも、
「論理構成を理解しているか」を正確に試験できるようになった、ということが一番のポイントではないでしょうか。
従来の選択式の問題よりも、小手先のテクニックが通用しない記述式の問題。
つまり、「本質的な能力」を問われるということです。
ここで言う「本質的な能力」とは「論理的思考」に関する能力です。
「論理的思考」とは、筆者の「伝えたいこと」を正確に読み取る能力です。
こうした思考を身に付けるためには、日常的な習慣がとても大切です。
ここでは、2つの方法を紹介します。
1つ目は「読書と要約」ですが、何を読むかが非常に大切です。
【Good】
・筆者の主張がある文章(大前提)
・知るだけではなく、理解する必要がある本(知識獲得だけでは不十分)
・実社会のことを題材にしている(自分が知らないことの方が理解力が求められる)
【Bad】
・教科書など知識を獲得するための本(筆者の論理がない)
・小説(筆者の論理がない。でも大切です!)
・新聞の投書欄(文章が稚拙なことが多い、文章として短い)
また、要約については本文中の言葉を使いながらも、
筆者の論理に基づいて、自分の言葉で説明することが大切です。
2つ目は「論理的に話す経験」です。
例えば、「親に何かを買ってもらうためのプレゼン」「校則やルールを変えるための説得」など、
日常生活の中で、自分の希望やアイデアを実行するために話すことで、論理的な思考力を実践的に養うことができます。
自分の意思と相手を説得するための論理を、
自ら体験することが、他人の発言の背景にある論理を理解するための近道です。
こうした能力は試験のため、というよりも生きていくために非常に大切だと思います。
社会に出てからは論理的に物事を考え判断することが求められます。
特に、グローバルな環境においては、
自分の意見と理由を論理的に伝え、相互に理解して協働することが求められます。
こうしたコミュニケーションのベースになる
論理的思考を獲得するためのにできることを、今後も実践したいと思います。