子育て応援講座『教育×テクノロジー』

子育て応援講座『教育×テクノロジー』

子育て応援講座

『スマホがやめられない』『SNSでストレスがたまる』『スマホのせいで勉強できない』…そんな風に悩まれている生徒や保護者の方からの声を聞くことが増えています。

 そんな「中高生のスマホ利用」に関連して、山の田地区まちづくり協議会が主催する「子育て応援講座」に講師としてお招き頂きました。当日は、「テクノロジー×教育」をテーマに、私たちにできることを考えました。

ブログでは、当日のダイジェストに加えて、この講座の必要性を強く感じるキッカケとなった出来事を紹介させてください。

数カ月前にスターバックスで目にした光景

 私の目の前の席に、母親が2人の子供を連れて座りました。兄妹は6歳未満くらいで、席に着いてからも、じっと大人しく座っています。

 母親は兄妹の向かいに座って、スマートフォンに熱中しています。手つきから察するに何かのゲームをしているようです。お兄ちゃんは、本も玩具も何も持っていませんでした。飲み物を飲み終えた子供たちは退屈そうにしています。

 20分が過ぎて耐えられなくなった妹は「ママ~」と声を掛けました。しかし、母親は視線をスマートフォンの画面から動かすことなく、「は~い」と気のない返答をします。諦めた様子で、妹はカバンからノートと鉛筆を取り出し、絵を描き始めました。お兄ちゃんはそれを隣で眺めています。

 更に15分が過ぎました。妹は絵を描き終えると、見て欲しいのでしょう、「ママ~」と母親に声を掛けます。しかし、母親は「ん~」と意味のない返事をして、スマートフォンを見つめ続けていました。

 そんな母親の顔を見る2人の子供の表情。それは、虚しさと寂しさでいっぱいでした。そして、何かを諦めたように、そっと眼を逸らして、しばらく呆然としていました。勿論、スマホに熱中している母親は、そんなことには気づきませんでした。

スマホ問題の本質

 「スマホ依存」「ゲーム中毒」「SNSの使い過ぎ」など…今の教育現場や家庭では様々な差し迫った課題があると言われています。また、「スマホが学力を低下させる」といった研究に基づく主張が世間には溢れています。

 しかし、「なぜ、それらが問題なのか?」「なぜ、そんなことになっているのか?」「どうすれば、適切な利用ができるようになるか?」ということを子供に関わる大人たちが議論することなしに、この課題は解決できないと思います。

 『スターバックスの光景』からも分かるように、私たち大人が『原因』である可能性も多分にあるからです。

4つの要素とスマートフォン

ここからは講座のダイジェストです。そもそも、「可能性を引き出す教育」のためには、4つの要素「環境」「経験」「情報」「対話」を豊かにすることが大切だと私は考えます。

周囲の人が勉強している環境
本人の適性や価値観に合う環境
自分で成長できる環境
遊びの中で感覚・感情・頭脳を使う経験
好奇心を刺激する経験
消費者ではない経験
質の高い情報
ゆっくりと整理できる情報
新しい語彙や考え方を含む対話
共感や感動のある対話
思考を促す質問がある対話

※講座では4つの要素について、私自身の経験や具体例を元に説明した上で、スマートフォンなどのテクノロジーが、どんな影響を与えうるかを一つずつ検討しましたが、ここでは割愛します。

結論としては、テクノロジー以前の大前提として、4つの要素「環境」「経験」「情報」「対話」を豊かにすることが、子供の自立と成長に不可欠です。

そして、テクノロジーに関しては、オンライン学習サービスなどを利用することで教育格差を縮小したり、世界や社会のリアルな情報を得ることで好奇心を刺激することができるといった可能性があります。

その一方で、インターネット上には、視聴数を稼ぐための下らないコンテンツ、企業が商品を売るために意図的に作ったメッセージ、アルゴリズムによって統制された 依存性の高い サービスがあふれています。だからこそ、子供自身が自分の価値観や必要性に応じて、情報を取捨選択できるまでは、家庭ごとに約束事をつくることが大切だと思います。

参加者の感想(アンケートより抜粋)

・子どもを取り巻く環境が大切で、私自身の生活スタイル(本を読む、スマホの使い方等)を見直さないといけないなーと思いました。

・スマホ、インターネットの事については私も日々考える事が多いです。大人がまずは正しい知識を持って接していくことのが、現在の子ども達には必要なのかと思いました。

・とてもわかりやすく興味深いお話を聴かせていただき本当に良かったです。これからの子育てに生かしていきたいです。特に「本」に関しての環境づくりは、自分も常に学んだり物質だけでなく人的環境も整えなきゃと思いました。

・子どもへの関わり方で色々気になっていることも聞くことができ、少し安心することができました。子どもの興味、望みをよく観て、子どもが自由の中で楽しく子ども時代を過ごすことができるよう見守っていきたいと思います。

・定期的にこういうお話をお聞きして母親としても学んでいきたいなと思いました。

最後に

 今後も教育の質を向上するために必要なテーマについて、継続的に研究実践したいと思います。また、教育課題に関してのワークショップやセミナーについて、ご要望がございましたら、可能な限り個別対応させて頂きますので、お気軽にお問い合わせ下さい。

岡住建郎

フェイブスクール代表 山口県下関市出身、1987年生まれ。慶應義塾大学法学部卒。住宅会社・広告会社で社会人経験を積み、2017年はカリフォルニア大学へ留学(イノベーション・マネジメントを専攻)。 帰国後は地元下関へUターン、地域貢献を掲げ起業。学習塾フェイブスクール(FAVE SCHOOL)では、自身の受験体験から生み出した自立型学習法やアメリカで学んだ思考を深める対話型授業を実践。 最近では子育てに関する相談や講演を行ったり、大人のための読書会を主催したりと活動の幅を広げています。

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